スズムシ(鈴虫、Homoeogryllus japonicus)は、バッタ目コオロギ科の昆虫。日本産コオロギ科昆虫としてはかなり大型の部類に入る。羽は二枚と思われがちだが羽化直後の成虫個体は4枚ありその後に後脚で後翅を自ら脱落させる。
鳴き声が細かく鈴を振るようだというので鈴虫と言うが、かつてはこれを松をわたる風と聞いたらしい。逆にマツムシのチンチロリンを鈴の音と聞いていたようであり、古くはスズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼んでいた、あるいは混同されることが多かったといわれる。。
雄の羽は幅が広く、脈が発達している。太い脈の一部はヤスリのようになっており、羽を垂直に立てて左右に細かく震わせ、ヤスリを擦り合わせて美しく鳴く。
古くから鳴き声を楽しむ対象とされ、平安時代から貴族の間では籠に入れ楽しまれていたが、江戸時代より庶民の間でも人工飼育が始まったらしい。現在では簡単に養殖物が手に入るが、野生のものも全国に分布している。
ちなみに、スズムシの鳴き声が心地よいのには科学的な根拠があり、ムシの中でも人気のある音色を持つムシは、まずスズムシ、それに鳴くムシの王といわれるカンタンだろう。これらのムシの音のサイクルを測定してみると、スズムシが4千~4千5百サイクル、カンタンがだいたい2千サイクルである。ちなみにわれわれの人間の声は、だいたい30~100サイクル、世界最高のソプラノ歌手といわれるマリア・カラスは、人間の中でも高い声と称されたが、それでも1000~1200サイクルだった。カンタンは実にその倍の高さの音色をだしていることになる。
人間の耳は、約3万サイクルの音までは十分きけるということになっており、さらに人間の耳にとって、最もここちよい音色は、3千~5千サイクル、オーケストラの音なども、だいたいこの辺である。スズムシが人間にいちばん好まれるのは、こうした理由があるためだ。
また一般の電話・携帯電話・国際電話など全ての電話が通す音の周波数の範囲が300Hz~3400Hzであるのに対して鈴虫の鳴き声は4000Hzなので、鈴虫の鳴き声が電話の向こうの相手に聞こえることはない。
本作品は私が始めて作った自在置物で、大学三年生の夏に、夏休みを利用して京都にて一ヶ月間師匠の下で制作し、雄雌共に胴体は削り出しで稼動はしないものの、脚と翅が稼動する。そして雄は縦に持ち上がった後に左右に開くことで、スズムシ特有の翅を開くポーズを再現。作りに問題点は多々あるものの、全ての原点であり、とても思い入れのある作品である。